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マニラっ子の悩み……ゴミ問題

 
 

フィリピンに限らずアジアの大都市には共通する悩みがある。急激に増加する人口にインフラが追いつかず、日常生活に様々な支障をきたしているのだ。交通問題、電力(停電)問題、上下水道の問題、公立学校の不足……。中でも困るのが、普通に生活していれば必ず発生するゴミの処理問題だ。

マニラ首都圏の人口は、全人口( 7,700 万人/ 2000 年調査・以下同 ) の 13 %にあたる 1,000 万人余り。人口密度は1平方 km あたり 12,000 人にもなる。その結果、首都圏全体では 1 日あたり 1 万tものゴミが発生しているのだ。

問題は、このゴミの処理方法にある。ゴミは燃やすことでその容積を劇的に減らすことが出来る。しかし焼却温度が低ければ、ダイオキシンを始めとする有害物質が発生する。こうした有害物質は高温焼却炉で焼却処理すれば発生しないのだが、一般の焼却炉に比べ建設費・維持費ともに高くつく。その結果、海外では高温焼却炉の導入を見合わせ、焼却処理を禁止してしまった国も多い。フィリピンなど多くの東南アジア諸国でも、この政策を導入し、ゴミは焼却させないという方針がとられている。そのためフィリピンでは「ゴミ処理」とは「埋め立て」とほぼ同義語となってしまった……。

フィリピンの貧困の象徴として 80 年代に盛んに紹介されたスモーキーマウンテン(マニラ市トンド地区)や、 90 年代のケソン市のパヤタスなどは、こうした方針上に存在した主要なゴミ処理施設(少なくとも現地ではこのように呼ばれている)であったのだ。
このゴミ問題をより深刻にしているように思えるのは、こうしたゴミ処理施設で働くリサイクル業者たちの存在だ。ココでは現地流に“リサイクル業者”などと上品に書いたが、その実態は、ゴミ埋立地で金目のモノ(といっても、破れていないビニール袋や、金属、ガラス瓶など売れそうなモノ)を拾う人々のこと。多くは地方で食いつめて、仕事を求めて上京してきたものの、言葉(フィリピンには 13 の異なる言語がある)も理解できず、学歴もないため、ココに吹き溜まった人々にすぎないのだ。
彼らの存在自体、また別の重要な社会問題ではある。ここでの問題は、貧困(家を借りる金も、交通費さえもない)の中にある多くのリサイクル業者たちは、ゴミ処理施設内に勝手にバラックを建て(つまり不法居住者=スクワッター)、そこに暮らすことで、有害物質などの被害を受けるケースも発生しているのだ。

その最大のものが 2000 年 7 月にバヤタスで発生した事故。バヤタスは元々はケソン市郊外の下院議事堂からも車で 5 分ほどのところにある風光明媚な渓谷であったが、スモーキーマウンテンへのゴミの投棄が終了した 80 年代末に処理場となった。その後 10 年間、渓谷は完全に埋められ、事故が発生した当時は 100 mほどのゴミの山になっていたのだが、数日間続いた豪雨によってこの山が崩壊。麓に立ち並ぶリサイクル業者たちの家々を飲み込んだ結果、 230 人以上の住民が犠牲者となったもの。

この事件をきっかけにバヤタスは一時閉鎖されたが、それによって街がゴミで溢れることとなった。とにかく処理しなければならないゴミの量が莫大なため、現在はバヤタスも再開、他の近隣の処理場(リサール州サンマテオと、モンテンルパ市)と共にフル稼動をしているが、この 3 箇所で首都圏のゴミを処理できる期間もそう長くはないという……。

 フィリピン人の出すゴミの量は日本人に比べれば、まだ多いとは言えない。特に紙類などは 1 割にも満たない量だろう。また、ペットボトルも日本ほどは出回っていないし、自動販売機が普及していないため、缶製品も少ない。それでも首都圏全体では 1 日で 1 万t余り、年間では 400 万tものゴミが生じ、ソレを埋め立てなければならないのだから、どう考えても無理がある。その一方で、未だに発展途上にあるフィリピン(並びにゴミ問題で悩む国の多く)は、巨額な資金を必要とする高温焼却炉を導入ことは当面は不可能だろう。

だからといって、いつまでもゴミをそのまま埋め立てることは物理的に不可能だろうし、その結果生まれた新しい土地で、将来、有害物質が発生する可能性は誰も否定出来ない。
世界的にはゴミ処理技術が進んでいる(特に高温焼却炉)と言われている日本でも、現実には処理能力を超えるゴミを埋め立て処理せざるを得ない状況を見ると、我々も偉そうなことを言えた義理ではないが、一刻も早い根本的な解決策を探さなければフィリピンはゴミに埋もれた国となってしまうだろう……。bykoike

 
 
     
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