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日本魚類学会自然保護委員会からのお知らせ
 
   
   

2003年 6月 12日

山梨県知事 山本栄彦殿


日本魚類学会会長松浦啓一

2003年度内水面漁業権免許切り替えに関する要望書

貴県は、河口湖漁業協同組合に対して、1989年に第五種共同漁業権に係るオクチバスの漁業権を免許されました。折しも、オオクチバスの生息水域がほぼ全国に拡大し、この魚が激増した琵琶湖ではその駆除の是非をめぐって漁業者と一部の遊漁者が激しく対立している最中のことでした。この直後の1991年、新たにオオクチバスの近縁種であるコクチバスが国内で突如、確認され、翌1992年には確認水域が5箇所となり、急激に拡大する兆しを見せました。

このような事態を重く見た水産庁は、1992年にほぼ全国の都道府県に対して、内水面漁業調整規則を部分改正してブラックバス類とブルーギルの移殖禁止の措置をとるよう、通達を出しました。貴県はこの通達にしたがってこれらの魚種の移殖禁止の措置をとりながらも、一方では1994年に山中湖と西湖の漁業協同組合に対してオオクチバスの漁業権を新たに免許を認可しました。貴県のこうした対応は、これら外来魚に対する緊急措置のもつ心理的効果を打ち消すものであり、この後、いわゆるバス釣りブームが一気に加速する契機にもなったと考えられます。

貴県の場合、オオクチバスが県内で初めて確認された当時でも、その移殖は漁業調整規則に反するものでした。つまり、貴県によるオオクチバスの漁業権免許は、違法行為の結果を行政が公的に認めたことに他なりません。さらに、こうした反社会的背景をもつ河口湖などでのバス釣りの盛況ぶり、とくにトーナメント形式の釣り大会の開催が、バス釣りブームを全国規模に過熱させる一端となったことは疑いありません。結果として、貴県の対応は、わが国の水域の自然環境の荒廃に拍車をかける状況を招いたことにも、重大な責任を担っていると言えましょう。

以上のような経緯の後、1997年、貴県は全国に先駆けてにコクチバスの再放流と活魚の持ち出しを禁止され、また本種に対する漁業権を将来にわたって認めない旨の決意を表明されました。この断固たる措置や決意表明が、全国的なコクチバス排除の姿勢を勇気づけ、その密放流の抑制に貢献したことは疑いありません。

しかし、2004年に予定されている漁業権免許の切り替えにおいて、もし河口湖、山中湖、西湖におけるオオクチバスの漁業権が既得権として無条件に認められるようなことがあれば、貴県の基本姿勢に対する疑念の声が強まることが危惧されます。なぜなら、コクチバスはオオクチバスとほぼ同様の摂餌生態を持つことが国内でも明らかにされはじめ、在来生物への影響という点では本質的な相違はないために、コクチバスを厳しく規制する一方、オオクチバスでは漁業権免許を付与して許容するという相反する行政対応に対して疑問を呈する声も少なくはないからです。さらに、これまで一貫してオオクチバス排除の方針をとり続け、現在も駆除に力を注いでいる他県の姿勢にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

日本魚類学会は、このような諸般の事情を考慮し、上記の各水域においてオオクチバスに対する漁業権免許の適否が慎重に検討されることを強く要望します。また、ブラックバス類による捕食の影響が経済的有用な魚種のみならず、それ以外の希少な魚種や、甲殻類、昆虫類など多くの水生動物に重大な打撃を与えることや、遊漁が手軽な屋外活動として特に子供たちの自然観の育成にも影響しうることを考慮すれば、漁業者や遊漁者の代表と、水産学や魚類学の専門家からなる従来の内水面漁場管理委員会の組織体制では十分な検討、審議がつくせないことも危惧されます。したがいまして、魚類以外の水生動物の研究者や、環境倫理学、環境教育学、教育心理学などの専門分野に通じた有識者などからの意見を求めながら、一般県民を交えた公開の場で議論が行われることが望ましいと考えます。

以上の点に関して格段のご配慮をお願い申し上げるしだいです。



◆ 本要望書についての問い合わせ先◆

〒041-8611 函館市港町 3-1-1
北海道大学水産学部育種培養学講座 内 日本魚類学会 自然保護委員会
委員長 後藤 晃
TEL 0138-40-5536  FAX 0138-40-5537
e-mail:akir@pop.fish.hokudai.ac.jp

〒250-0031 神奈川県小田原市入生田 499
神奈川県立生命の星・地球博物館 内 日本魚類学会 自然保護委員会
副委員長 瀬能 宏
TEL 0465-21-1515  FAX 0465-23-8846
e-mail:senou@nh.kanagawa-museum.jp

   
   
     

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