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在来種・外来種・移入種および帰化種の位置づけ
 
 


はじめに

生物は常に、現存する親の数よりも多くの子(卵・種子・胞子)を産む増殖能力を持っています。
それと同時に、必然的な結果として、すべての生物は現在占めている場所以上の空間へ棲み場所を広げていこうとする傾向ないしは力を持っています。
しかしながら、こうした拡散性によって形づくられてきた生物の分布像は、特に有史時代以降、人類栄力の発展による影響を受けて、大きく変えられてきました。
新人としての人類の歴史はたかだか3〜4万年前以降ですが、数万年程度の時間とはいえ、人類が他の生物の分布に与えた影響には計り知れないものがあります。
現代に至ってはさらに拍車がかかり、その速度は加速されて人類の影響を受けた生物の拡散は、本来の生物のもつ拡散性の中に正当に評価され、その土地の動物相に位置づけられることが不可欠となってきました。
1980年1月26日の「在来生物と帰化生物」と題する座談会が行われた際に、浅井康宏先生は原因が何であれ、(国外から日本に)入ってきて野生化すれば帰化種であると話されています。
「日本の帰化動物」(神奈川県立博物館刊,1988)の中でも述べられているように、野生動物によって植物の拡散(植物の種子が羽毛に付着して運ばれ、発芽する等)が行われるケースまでも帰化の概念に組み入れてしまうと終始がつかなくなってしまいます。
専門家の間でも誤解が生じているのは、帰化種というものが生物のもつ拡散性の中で十分位置づけられていない点であり、移入種ないし帰化種というものがかかえる問題の一つでもあります。


生物拡散の類型とその中における帰化種の位置づけ

ニータマ―(Niethammer,1958)は動物の拡散を大きく以下の三つに整理しました。

  受動的拡散 (passive dispersal=autochory)
 
風拡散■━┓
 
水流拡散━╋━ 自然拡散:人類が誕生する以前の太古より風や水流動物によって行われてきた拡散
 
動物拡散━┛
 
 
 
人拡散■━━━ 人為拡散 人類の誕生以後、地史的にごく新しく行われるようになった拡散

能動的拡散 (active dispersal=allochory)
 
水中での遊泳
 
陸上での徒歩、あるいは這う
 
空中での飛翔
 
以上の自らの運動器官を使って行う拡散

複合拡散 (combinative dispersal)
 
1と2の諸要因が複合されて起きる拡散

ここで問題になってくるのは人為拡散ですが、人為拡散とはある種の動物が直接人によって運ばれたり、船や飛行機などの交通機関で運ばれる物資に混入することによる拡散であり、人間および人間の作った物が、原則としてそこに介在します。受動的拡散の一形式ですから、その生物にとってきわめて偶然的要素の強いものです。人が移入した生物に混入したり付着して入ってきたことが明らかなのであれば、それも人為拡散です。原則として自然拡散には人間は介在しません。
人為拡散の結果として現れる種は、
(1)人間が意識的に運ぶもの
(2)人間が意図しないのに船や飛行機などの交通機関によって運ばれてしまうものの二つに分かれます。


ここでは(1)を移入種、(2)を随伴種と呼ぶことにします。つまり目的があってのことか、そうでないかの違いです。

(1)
移入種
移殖種
  移入目的は多様であり、対象となる種も小さいものは昆虫から、大きいものは哺乳類まで、多岐にわたり
  ます。昆虫等は繁殖させる目的で野外に積極的に移殖することで現れる種です。コジュケイ、コウライキ
  ジ、ブラックバス、カワマス、マングース、カダヤシ等。
逸出種
  移殖種から派生することが多く、本来人間の管理下において飼育されているはずのものが逃げられた。
  飼育困難となって消極的に放たれたりして現れる種です。ティラピア、ソウギョ、ワカケホンセイインコ、ア
  ライグマ、タイワンリス、アカミミガメ等、移殖種は容易に逸出種に転化します。

(2)
隋伴種
  隋伴種は渡来手段によって、物隋伴種、生物隋伴種の2種に区別されます。
物隋伴種
  物隋伴種は船や飛行機などの交通機関によって運ばれるさまざまな物資に付着したり、混入して入ってくるもの
  、また、船などに直接付着して入ってくるものです。
  船に直接付着して密航するのは海産動物の中の固着性動物に多く見られ、船の積荷にまぎれて密航するのは
  陸上動物に多く見られます。海産動物では最も移動力のないフジツボ、コケムシ、カキやムラサキガイ等の固着
  性二枚貝等が長距離の拡散をするという、一見矛盾したことが起こります。これらの動物は船底に固着した成体
  の形で海を渡り、入港先の港で卵や幼生を放出します。カニ類やエビ類等の成体では船底に付着できたとして
  も、船が航行に入れば振り落とされてしまう可能性が大きいので、幼生が船底の生物に付着すれば海を渡るこ
  とは可能と思われます。
  また、動物の場合は、長期の断食に耐え、荷物に紛れやすい大物の爬虫類が密航してきます。
生物隋伴種
  生物隋伴は、人が直接持ち込む生物に付着して入ってくるもので、移殖種から派生することが多いです。食用貝
  であるカキ類は世界各地で養殖され、種カキが輸出入されています。カキが移殖されることにより、それに付着
  していた生物も一緒に入ってきます。
  淡水産の小型巻貝類は観賞用の熱帯魚と一緒に飼育する水草や藻について入ってくるものが多いといわれて
  います。
  人体や衣服等について伝播する衛生害虫も、生物隋伴種に含まれます

 
 
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