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板橋区ホタル飼育 施設 取材レポート
 
 

2002年10月22日、東京都板橋区高島平にある板橋区ホタル飼育施設に伺いました。この施設でホタルの生態研究をしている阿部宣男氏は、東京ほたるの会の最高顧問でもありますが、飼育を手がけてから14年間、休暇をとったことがないそうです。毎日室温や水温を点検し、水を飲んで機械では判定できない「水の軟らかさ」、ミネラル分の有無などを自分の舌で確かめるためです
この施設の基本姿勢は単にホタルの数を増やすことではなく、ホタル以外の様々な動植物が育つために必要なものは何かを実践的に研究しています。特に水質、土質を悪くする有機物を分解、浄化する好気性バクテリアを効率よく増繁殖させていますので、ホタルが卵・幼虫・上陸・さなぎ・成虫・産卵と、一生を通じて生活できる環境を実現しています。
 ホタル飼育施設は酸性雨から守るために温室の中に設けてあり、動植物すべての世代交代を目的としています。真ん中に栄養度の高い飼育水の流れ、せせらぎ(この施設の名称)がありますが、そこではホタルの餌となるカワニナが稚貝を生み続け、メダカ、ヨシノボリ、ヤマトヌマエビなども生息しており、それらの糞尿が好気性バクテリアにより分解され、苔・水草が増えすぎないようにカワニナがそれらを食べる。次にカワニナが増えすぎないようにホタルの幼虫がそれを食べるというように、動植物すべての世代交代を目的とした小さな自然が実現されています。 地下水の汚染がひどいので、水道水をろ過して人工のせせらぎを作っているのですが、水草の他にワサビ・ジュンサイ・クレソンなどが繁茂し、土手は増殖させた苔で覆われています。 ゲンジボタルは6月が全盛期で中流域の流れのある処にしか棲めないそうですが、ヘイケボタルは7月が全盛期で沼や池のような流れのない処に生息しているそうです。 当施設では、毎年6.7月に夜間ホタル鑑賞会を実施していますので、関心のある方は下記へお問い合わせ下さい。

筑波大学大学院理工学研究科博士後期課程 在籍
東京ほたるの会【特定非営利活動法人(NPO)】最高顧問 1955年生まれ。1980年から東京都板橋区立「淡水魚水族館」の飼育担当。
以後、「こども動物園」の飼育担当を経て、1989年「温室植物園」担当となり、無農薬生態園を実現。同年よりホタルの飼育を開始し、1992年より「ホタル飼育施設」飼育担当として現在に至る。 阿部先生が育てたホタルは、13世代目が今夏飛翔し、現在14世代目の幼虫がいる。
所属学会 日本環境学会・日本生態学会・日本生物教育学会保全生態学研究会・日本生物環境調整学会・日本感性工学会
阿部宣男(あべのりお)

板橋区ホタル飼育施設紹介
板橋区ホタル飼育施設のホタルたちは、成虫から卵、そして卵が成長し成虫へと世代を重ねており、現在は14世代目の幼虫です。当施設では、かつての自然の水辺と同じような働きを持った飼育環境づくりを施し、カワニナやメダカなどの生物たちとともにホタルが育っています。 以下、皆さんにホタル飼育の概要を紹介します。
ホタル生態槽
ゲンジボタル生態槽2基、ヘイケボタル生態槽2基、ゲンジ、ヘイケ共存生態槽2基の合計6基あります。
各生態槽内は、水、土、植物やホタルをはじめとする生き物たちがバランスを保ち、互いに役割を十分に果たし、狭いながらもひとまとまりの生息環境(小宇宙)になっています。つまり、食物連鎖が成り立ち、糞尿などの汚れは、分解されて水や土が常に浄化・再生されるなど、生き物の基本的な生息条件が維持されています。その上で、ホタルが卵から幼虫へ、そして成虫、産卵までの一生を営むための様々な工夫がされています。
各槽で、2万個以上の卵が生まれ、翌年に200〜300の成虫が発生して光を放ちます。(右写真は、共存生態水槽について 説明する阿部先生 )
植物が育ち、ミミズやダンゴムシなどが暮らしています。微生物による分解活動も盛んで、土はいつも浄化されて、カビは発生せず、弱アルカリ性を保っています。さらに、湿り気を保ちながらも、さらさらし水捌けがよくなっています。これらは蛹化・羽化の必要条件であるだけでなく、ホタルの活動のしやすさも考えてのことです。
土は、水の浄化・再生への大きな役割も担います。いろいろな汚れを吸収し浄化するとともに、種々の物質が微量に溶けて水の硬度やpHを維持し、ミネラルの補給をします。 ホタルの幼虫は、土の中で1ヶ月以上もかかって蛹、成虫になるのです。
水質
一定の水質を保つ水中には、好気性バクテリアが無数に住んで、有機物を分解しています。
糞尿から発生するアンモニアや亜硝酸性窒素は生き物の生息を脅かします。ほんの僅か含有しているだけで、カワニナが稚貝を生まなかったり、稚貝が死滅したりします。これらの有害物もバクテリアが分解します。生態槽では、常に有害物は無いに等しい状態で無ければなりません。また、水中にも木炭や骨炭などを用いて、水を弱アルカリ性に保っています。水底には那智石、硅砂などを用いてコケや水草の育成を図り、水質の改善に役立てています。
動 植物
微生物のほか、多用な生物が複雑な連鎖をしながら共生し、快適な環境を成り立たせています。カワゲラ、トビケラが水底のゴミを掃除します。
エビがカワニナの死骸だけを食べて水質の悪化を防ぎます。生きたカワニナはホタルが食べるのです。 動物たちの糞尿は藻類の養分となり、藻類はカワニナが食べます。また、カワニナの食べられた後の殻は、微量に溶けて、水中のカルシウム量を増し、次のカワニナの成長に役立ちます。 陸地のコケや草などは、ホタルの産卵や休息に無くてはならないものです。
せせらぎ
ガラス張りの建物内に、幅1.2m、長さ17mの清流を中心に緑の岸辺。 かつての水辺の自然(生態系)が再現されています。多くの手を加えていますが、基本的にはホタル自生地の自然と基本的に同じ営みをしています。 流れはろ過されて、循環します。雨水(スプリンクラー)は、多くの生き物たちがいる豊かな野草の地表を流れて、良好な地層をくぐり涵養されて流れにそそぎます。有機物やミネラルを含んだ水中には、水草や藻類がよく育ち、小さな生き物の最適の生息場となります。
200万個以上の卵からかえったホタルの孵化幼虫が生活し、ホタルに食べられる量を越えるカワニナが繁殖しています。さらに、そのカワニナが食べるコケや水草が豊かに育ちます。そして翌年に、数万匹を越えるホタルが成虫となります。 大量の生き物たちは、やがて、植物にかえり、植物は大気を浄化します。「せせらぎ」に入ると空気までもおいしい生態系(自然)が体感できます。
生態系で涵養された水は、軟水でまろやかな味がします。
これが日本独特の豊かな自然がつくるホタルの水だと考えています。pHは7.5〜8.2。アンモニア、亜硝酸性窒素は、ほとんど0mg/リットル。溶存酸素量は、水温を問わず常に飽和状態。COD,BODは共に限りなく0mg/リットルに近い値。二酸化炭素、GH(総硬度)、GaGH(カルシウム硬度)などもホタルの生息に適した値にしてあります
植物
陸地には、ヨモギ、トクサ、カヤなどホタル生息地の野草を中心に約150種が育っています。中にはきれいな空気の中でしか育たない植物もあります。水中には、クレソン、バネステリア、セリが一面を覆っています。ミズバショウやワサビも育ちます。水底の那智石や流木には、コケがつきカワニナが食べています。
動物
水中にはホタル、カワニナのほかヤマトヌマエビ、メダカ、ヨシノボリ、ゲンゴロウ、タガメ、アメンボ、トビケラ、カワゲラなどが元気に共生しています。
地上には、ミミズ、ダンゴムシ、アブラムシ、テントウムシ、ハナアブなどもおり、さらにクモ、ヨトウムシなど歓迎しないものも育っていますが、それらはげっ歯目類(哺乳類・モモンガ等)などのより、捕食させバランスを保っています。
網で仕切ってある循環ピットには、ヤマメ、イワナ、イトウなどの魚類も暮らしています。
気温・温度
大型空調機、雨を降らせる装置や細霧発生機などを用いて、可能な限り生息地の気象情況に近づけています。


ゲンジホタルのメス


ホタルを育てるための環境施設(せせらぎ)

ホタル 施設の公開見学を待つ人々

ゲンジ ホタルの乱舞

板橋区立エコポリスセンター : 板橋区ホタル飼育施設
連絡先
03−5970−5001
URL
http://www2s.biglobe.ne.jp/~HOTARU
一般公開日
火曜日〜金曜日:13:00〜16:00 土・日・祝:10:00〜16:00
休館日
月曜日(祝日開館/翌日休館)・12月28日〜1月4日
見学料
無料
交通案内
地下鉄都営三田線・新高島平駅下車、徒歩5分
東武東上線・成増駅下車、バス(高島平操車場行き)高島平四丁目下車、すぐ前
 
     
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